採用担当の教科書

就職情報も、時代の波に流されて。採用メディアの変化とコミュニケーションの本質

第二回:新卒採用も、時代の波に流されて。採用メディアの変化とコミュニケーションの本質<シリーズ:新卒採用って、ホントのところ。

採用メディアの変化

前回は新卒採用の歴史を、時代や世の中からの声で変化してきた様子を振り返ってみました。
ですが現代の就活で大事なポイントについては、深く触れていませんでした。「就職情報メディアの変化」です。

リクナビ、マイナビを筆頭とする就職情報サイトは、今や新卒採用には欠かせないツールとなっています。
しかし、いつからこのように就活情報がまとめられるようになったのでしょうか?そして、これからの就活情報はどう変化するのでしょうか?
今回は就職情報とメディアの変化について追いかけていきます。

大学の枠を飛び出し続けた就職情報とメディアの変化

大正:大学推薦や大学への求人が主なルート

大学の数も少なかった大正・昭和初期。
新卒採用の求人は公募ではなく、大学からの推薦で企業と出会うものでした。
今まで大学からの採用を行ったことのない企業は、大学に直接求人を持ち込みます。
企業と学生のはじめての面会時には、親も同席して挨拶をするほど、就職口は保証されていた「売り手市場」でした。

変化がおこったのは、1918年の政府は「大学令」を公布した大学数の拡大以降。
大学数は増えたものの、不景気の波に飲まれ、就職を希望する学生が企業に殺到する「買い手市場」へと状況は一変しました。
多くの応募者に対応するため、各社で入社選考が行われるようになり、各大学に就職部ができて就職指導が行われるようになったのがこの時期です。

昭和初期:混乱の中で国が主導した就職情報

日中戦争による景気回復により、就職難は一時的に解消されましたが、今度は売り手市場のため初任給が高騰する結果になりました。
戦時体制下のため政府主導で大きく変化がおきたことが2つ。
1938年に国が新卒者を企業に割り当てる制度が、1940年には初任給の一律化がなされました。
これにより、出身大学によって初任給が大きく離れていた状態から、今の新卒初任給一律化に近づきました。

高度経済成長期:学生と企業が直接出会うようになる

戦後の混乱が一段落し、定期採用が復活したのは1950年の朝鮮戦争の特需から。
青田買い、就職協定など攻防が続く中、多くの学生は大学からの推薦によって就職をしていました。
自由応募が一般化するのは1960年代の後半、大学紛争がきっかけです。
学校推薦の機能が麻痺したため、学生が自力で企業を探して会いに行く、会社訪問を始めました。
また、このころから学生と企業をつなぐ就職情報産業がうまれはじめ、学生と企業が直接出会うようになりました。

昭和〜平成:就活情報冊子から、インターネットへ

就職情報を扱う企業宛に、学生が大学名などを記入した就活情報を求めるハガキを送ると、就活情報のまとまった冊子を返送する。仕組みが確立され、企業と学生は直接出会い、就職試験をすすめる流れが広がります。
バブル崩壊後の就職氷河期には、厳選採用のため接触学生を減らすためエントリーシートが導入されるようになりました。効率化された採用活動に対応するため、学生側にも自己分析や面接対策の必要性が説かれるのも、この時期から。
また、インターネットが一般にも広がり、就職情報が冊子から徐々にネット上のサービスに移行されはじめました。大学や企業と直接やりとりしていた求人情報が、だれでも見ることができるようになったのです。

2010年代:ソーシャルメディアの台頭と多様化する間口

インターネット上の就職情報メディアだけでなく、学生の間で口コミで情報交換をするサイトや、ソーシャルメディアで直接企業と学生のコンタクトができるようになってきました。
スマートフォンアプリやオンライン説明会など、インターネット上のサービスも多様化し、企業の特徴や学生の傾向によってセグメントされたサービスが増え続けています。
新しいコミュニケーションツールを活用しながら、どうやって直接出会うことができるか、各社各サービス共に試行錯誤を繰り返しているのが現状です。

これからの就職情報はどこへ

選べる手段が多くなった一方、企業も学生も多くの手段に戸惑い、従来の慣習通りに大手就職メディアに頼りっきりになっている層が、多数なのではないのでしょうか。
もしかすると、「新卒採用は窮屈だ」と言われがちなのは、この保守的な姿勢にあるのかもしれません。

メディアの変化としては自然な流れ

マスメディアで国民が同じテレビ番組を見て、新聞で同じようなニュースを見ていた時代から、インターネットが登場し、各自が手のひらのデバイスで自分の求める情報を検索・取捨選択する時代になりました。
就職情報に関しては、従来の大きなメディアだよりという保守的な姿勢が、時代遅れだと批判されているのではと私は考えています。

いち個人が、テレビを見るか新聞を読むか携帯でニュースを読み流すかを、ライフスタイルに合わせて選ぶように、採用企業も、自社の採用の方向性に合わせて情報を開示するメディアを選ぶ時代に来ているのです。

コミュニケーションの本質は変わらない

誰に、何を、どうやってつたえるのかは、コミュニケーションの本質ですが、それは採用でも変わりません。
自社はどんな採用をして、どんな人物に会いたいのか。
それさえ明確であれば、自社に合った採用メディアを活用して求める学生に出会うことも、また、自ら出会いたい学生を探し出すことも可能です。
誰にでも向けたメッセージではなく、確実に会いたい学生に向けたメッセージを伝えることで、より深くお互いを理解したコミュニケーションをつくることができるのではないでしょうか。

けれども、今までの手法に慣れ親しんだ採用担当者のみなさまは、新しい取り組みに不安を感じるかもしれません。そこで、次回の連載では就活生目線から、今のメディアの変化と活用ポイントを探ります。
次回「最近のシューカツ事情。 これからのメディア活用のヒント」をお待ちください。

天池知子

天池知子

2011年株式会社カケハシ スカイソリューションズ入社。 就活サイト「ミートボウル」の立ち上げ運営に携わり、学生広報を担当。 2012年「就トモCafe」の社会人バリスタとしてボランティアで運営。 現在はフリーランスとしてメディア運営・ライティングに携わる。

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